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相続に必要な戸籍の集め方 — 出生から死亡まで、そして一覧図で1枚に

銀行の解約、年金の請求、保険金、相続登記、相続税。亡くなった後の手続きの多くが、最初に同じものを求めます。亡くなった方の「出生から死亡までの連続した戸籍」と、相続人全員の現在の戸籍です。一度そろえれば全部に使い回せるので、最初にまとめて集めるのが結局いちばん早い。このページでは、何を何通集めるか、どこで取るか、費用、そして戸籍の束を1枚にまとめる「法定相続情報一覧図」を整理します。

集めるもの
出生〜死亡の連続した戸籍
+相続人全員の現在戸籍
1通の費用
450〜750円
戸籍450円、除籍・改製原戸籍750円
広域交付
最寄りの役所で
2024年3月〜。本人が窓口へ
一覧図
法務局・無料
何通でも交付。5年間再交付可

なぜ「出生から死亡まで」なのか

相続人が誰かを確定するためです。亡くなった方に、前の結婚での子や認知した子がいないか、養子縁組がないかは、最新の戸籍だけではわかりません。結婚・転籍・戸籍の様式変更(改製)のたびに新しい戸籍が作られ、古い戸籍に載っていた情報の一部は新しい戸籍に引き継がれないからです。だから生まれたときの戸籍までさかのぼり、途切れなくつなげます。これを見て「相続人は配偶者と子2人で全員」と確認できて初めて、銀行も法務局も手続きを進めます。

平均的には、亡くなった方1人につき3〜6通の戸籍がつながります。本籍を何度も移した方、明治・大正生まれの方は10通近くになることもあります。

集める書類の一覧

亡くなった方出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本(連続するもの全部)、住民票の除票または戸籍の附票(登記上の住所とのつながり確認用)
相続人全員現在の戸籍謄本(亡くなった方の死亡日以後に発行されたもの)。代襲相続(子が先に亡くなり孫が相続)なら、その子の出生から死亡までの戸籍も
相続人が兄弟姉妹の場合上に加えて、亡くなった方の父母の出生から死亡までの戸籍(兄弟姉妹を全員確定するため)。量が倍以上になる
提出先で追加されるもの印鑑証明書(遺産分割協議書に押した実印の証明。銀行は発行3〜6か月以内を求めることが多い)、不動産を取得する人の住民票(登記)、相続関係説明図(登記で戸籍の原本還付を受ける場合)

どこで取るか — 広域交付で一気に

戸籍は本籍地の市区町村で発行されます。2024年3月から「広域交付」が始まり、本籍地が全国のどこであっても、最寄りの市区町村の窓口でまとめて請求できるようになりました。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を、一度の来庁で一気にそろえられます。

請求できる人本人・配偶者・直系の親族(父母・祖父母・子・孫)。兄弟姉妹の戸籍は広域交付の対象外(兄弟姉妹が相続人のときは、従来どおり本籍地に郵送請求)
条件窓口に本人が出向き、顔写真つきの本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)を提示。郵送・代理人は不可
取れないものコンピュータ化前の一部の古い戸籍(改製原戸籍の一部)は対象外のことがある。その場合は本籍地に郵送請求
所要その場で発行されることもあれば、本籍地との照会で数日〜1週間かかることもある(自治体・件数による)

郵送請求する場合は、本籍地の役所に「戸籍証明等請求書」と本人確認書類の写し、定額小為替(手数料分)、返信用封筒を送ります。1か所あたり1〜2週間。本籍地が3か所あれば、それぞれに請求するので、広域交付との差は数週間になります。

費用 — 計算例

計算例 亡くなった方の戸籍が5通(現在戸籍1通450円+除籍・改製原戸籍4通×750円=3,450円)、相続人3人の現在戸籍(3×450円=1,350円)、除票と住民票(2通×300円)、印鑑証明書3通(900円)。合計およそ6,300円。提出先が銀行2行・年金・保険・登記の5か所なら、一覧図を作れば戸籍は1セットで足ります。作らなければ、原本還付を受けながら順番に回すか、セットを複数取る(1セット追加で約5,000円)ことになります。

法定相続情報一覧図 — 戸籍の束を1枚に

法務局に戸籍一式と、相続関係を書いた一覧図の案を出すと、登記官が確認したうえで認証文つきの写しを無料で何通でも発行してくれます。以後、銀行・証券・年金・保険・登記・相続税申告に、この1枚(A4)を出せば戸籍の束の代わりになります。

申出先亡くなった方の本籍地・最後の住所地、申出人の住所地、不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局(郵送可)
必要なもの戸籍一式(出生〜死亡、相続人全員)、亡くなった方の住民票除票、申出人の本人確認書類、一覧図の案(法務局サイトにExcel・記載例あり)、申出書
日数申出から交付まで1週間前後(混雑時は2週間)。戸籍は確認後に返却される
有効期間写しの発行(再交付)は申出から5年間。提出先によっては「発行から〇か月以内」を求めることがあるので、必要になった時点で再交付を受ける
使えない場面相続放棄をした人がいる場合でも作れるが、放棄の事実は一覧図に載らない(受理証明書を別添)。遺言執行や数次相続で複雑な場合は、一覧図の形式に収まらないことがある

結論、提出先が3か所以上あるなら作る価値があります。銀行1行だけで終わる相続なら、戸籍をそのまま出して原本還付を受ける方が早いこともあります。

補足
戸籍集めは「読む」作業でもあります。古い戸籍は手書きの縦書きで、「〇〇に転籍」「婚姻により除籍」といった記載を追って次の戸籍を特定します。窓口で「この人の出生から死亡までをつなげたい」と伝えると、職員がつながりを確認して必要な通数をまとめてくれることが多い。自分で解読しようとして詰まるより、窓口で言ってしまうのが早道です。

誤解されやすいこと

「最新の戸籍謄本1通で相続人はわかる」— わからない

最新の戸籍には、現在その戸籍に入っている人しか載っていません。結婚して出て行った子、前の配偶者との子、亡くなった子は載らないか、記載が省略されています。だから出生までさかのぼります。

「戸籍は古いと使えない」— 亡くなった方の分は古くてよい

亡くなった方の戸籍は、死亡の記載が入った時点で内容が変わらないので、何年前に取ったものでも使えます(提出先が独自に「発行から〇か月」を求める場合を除く)。有効期限を気にするのは、相続人の現在戸籍と印鑑証明書の方です。

よくあるつまずきと対処

提出先別 — 戸籍が要るもの・一覧図で代えられるもの

銀行・証券戸籍一式または一覧図。ほぼすべての金融機関が一覧図を受け付ける
年金(未支給・遺族)亡くなった方と請求者の関係がわかる戸籍。一覧図でも可
生命保険受取人と被保険者の関係がわかる戸籍。「法定相続人」指定なら一式または一覧図
相続登記戸籍一式または一覧図。一覧図は法務局発行なので最も相性がよい
相続税申告戸籍一式の写し、または一覧図の写し(図形式のもの)
相続放棄家庭裁判所へは戸籍の原本。一覧図は不可(放棄は相続人確定の前段階の手続きのため)

チェックリスト

よくある質問

戸籍はどこまでさかのぼって集めればよいですか
亡くなった方の出生時の戸籍から死亡の記載のある戸籍まで、途切れなく連続するもの全部です。平均3〜6通、本籍の移動が多い方は10通近くになります。相続人が兄弟姉妹の場合は、亡くなった方の父母の出生から死亡までの戸籍も必要です。
広域交付とは何ですか
2024年3月から始まった制度で、本籍地が全国のどこでも、最寄りの市区町村の窓口でまとめて戸籍を請求できます。請求できるのは本人・配偶者・直系親族で、顔写真つきの本人確認書類を持って本人が窓口に行く必要があります。兄弟姉妹の戸籍は対象外です。
戸籍の費用はいくらですか
戸籍謄本は1通450円、除籍謄本・改製原戸籍謄本は1通750円。一般的な相続で亡くなった方と相続人の分をそろえると、合計5,000〜7,000円程度が目安になります。法定相続情報一覧図の写しは無料で発行されます。
法定相続情報一覧図は必ず作らなければいけませんか
任意です。提出先が3か所以上あるなら、戸籍の束を1枚にまとめられるので手間と費用が減ります。銀行1行だけなど提出先が少なければ、戸籍をそのまま出して原本還付を受ける方が早いこともあります。
戸籍に有効期限はありますか
亡くなった方の戸籍は死亡の記載が入った後は内容が変わらないため、発行日が古くても使えます。相続人の現在戸籍や印鑑証明書は、提出先が「発行から3〜6か月以内」を求めることが多いので、提出の直前に取るのが安全です。

あわせて確認 — そろえた戸籍の使い道は、銀行口座年金死亡保険金相続登記の各ガイドへ。役所で戸籍を取る日に済ませる手続きは役所で行う手続き一覧に。期限つき手続きの全体像は期限順ガイドへ。

※手数料・取扱いは自治体・提出先により異なることがあります。本ページは一般的な説明です。