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亡くなった後の年金手続き — 止める届出と、受け取れるお金

年金には「止める手続き」と「受け取る手続き」の両方があります。止める方は受給権者死亡届(厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内)。受け取る方は、亡くなった月までの未支給年金と、条件を満たす場合の遺族年金です。どちらも年金事務所(または街角の年金相談センター)が窓口で、同じ日にまとめて手続きできます。このページは、その1回の訪問で済ませるための整理です。

受給停止の期限
10日/14日
厚生年金10日・国民年金14日以内
未支給年金
亡くなった月まで
遺族が請求。時効5年
遺族年金
要件次第
基礎/厚生の2種。時効5年
窓口
年金事務所
予約制。街角の年金相談センターも可

年金は「後払い」— だから必ず未支給が発生する

年金は偶数月の15日に、その前2か月分がまとめて振り込まれます。4月15日に振り込まれるのは2月分と3月分。つまり、いつ亡くなってもまだ受け取っていない分が必ず残ります。これが未支給年金で、亡くなった月の分まで請求できます。

計算例 月額15万円の年金を受け取っていた方が5月20日に亡くなった場合。4月15日に2・3月分は受け取り済み。未支給は4月分と5月分の2か月=30万円。6月15日の振込は止まるので、これを遺族が請求します。もし届出が遅れて6月15日に4・5月分が振り込まれてしまっても、口座が凍結されていれば引き出せず、凍結前なら後日の精算対象になります。

「亡くなった月の分はもらえない」と思っている方がいますが、逆です。日割りにもなりません。5月1日に亡くなっても5月分は1か月分まるごと対象です。

1. 受給停止の届出(受給権者死亡届)

期限厚生年金: 死亡日から10日以内/国民年金: 14日以内
窓口年金事務所・街角の年金相談センター(国民年金のみの方は市区町村役場でも可)
必要なもの受給権者死亡届(報告書)、亡くなった方の年金証書、死亡を確認できる書類(死亡診断書の写し・戸籍抄本・住民票除票など)
省略できる場合日本年金機構にマイナンバーが登録されている方は、原則として死亡届の提出を省略できる(役所への死亡届で情報が連携される)。ただし未支給年金の請求は別途必要

届出が遅れて亡くなった後の年金が振り込まれると、あとで返還を求められます。手間が増えるだけで得はないので、葬儀が落ち着いた最初の平日に予約を入れるのが実務的です。

2. 未支給年金の請求

請求できる人亡くなった方と生計を同じくしていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・それ以外の3親等内の親族。この順位で、先順位の人がいれば後順位の人は請求できない
期限受給権者の年金支払日の翌月初日から5年で時効
窓口年金事務所・街角の年金相談センター。受給停止の届出と同時に
必要なもの(一般例)未支給年金・未支払給付金請求書、亡くなった方の年金証書、亡くなった方と請求者の関係がわかる戸籍、生計同一を示す書類(住民票の写しなど。別世帯なら生計同一関係に関する申立書と第三者の証明)、請求者の振込先口座
税の扱い請求した遺族の一時所得。相続財産ではないので相続税の対象外。相続放棄をしていても請求できる

「生計を同じく」は同居が基本ですが、別居でも仕送りや定期的な訪問・連絡があれば認められることがあります。別世帯の場合は申立書に加えて民生委員や町内会長などの第三者証明が求められるので、窓口で様式をもらってから動くと二度手間がありません。

3. 遺族年金 — まず「該当するか」を年金事務所で確認

亡くなった方に生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。種類は大きく2つで、亡くなった方の加入状況と遺族の構成で決まります。金額は毎年度改定されるため、ここでは仕組みだけ整理します。

遺族基礎年金遺族厚生年金
亡くなった方国民年金の被保険者・老齢基礎年金の受給資格者など厚生年金の被保険者・老齢厚生年金の受給権者など(会社員・公務員だった方)
受け取れる遺族「子のある配偶者」または「子」(子=18歳到達年度末までの子、または障害等級1・2級の20歳未満の子)配偶者・子・父母・孫・祖父母の順。子のない妻、夫・父母・祖父母には年齢要件などの条件あり
ポイント子がいない配偶者は対象外。国民年金第1号だった場合は寡婦年金(妻・60〜65歳)か死亡一時金の対象になることがある遺族基礎年金と両方受け取れることがある。30歳未満の子のない妻は5年の有期。65歳以降は自分の老齢厚生年金との調整がある

「自分は該当するのか」は、年金事務所で亡くなった方の加入記録をもとに判定してもらうのが確実です。未支給年金と同じ日に相談できます。請求の時効は5年。ただし請求が遅れた分の年金は、遡れるのが最大5年分なので、早く出すほど損がありません。

現役世代が亡くなった場合も対象になり得る

遺族年金は「年金受給者が亡くなったとき」だけの制度ではありません。会社員が在職中に亡くなった場合、厚生年金の被保険者期間中の死亡として遺族厚生年金の対象になり得ます(保険料納付要件あり)。子がいれば遺族基礎年金も。勤務先は健康保険・厚生年金の資格喪失手続きをしますが、遺族年金の請求は遺族が自分で行います。

遺族年金の請求に必要なもの(一般例)

書類は多く見えますが、戸籍・住民票・死亡診断書の写しは死亡保険金の請求や銀行の手続きと共通です。最初にコピーを多めに取っておくと、窓口ごとに取り直す手間が消えます。

年金事務所に行く日の段取り

補足
年金事務所の予約は、役所の窓口より取りにくい時期があります。死亡届を役所に出しに行く日、その場で年金事務所に電話して予約まで済ませておくと、14日以内の期限と、葬祭費などの役所手続きを同じ流れで片付けられます。

誤解されやすいこと

「マイナンバーが登録されていれば、年金のことは何もしなくていい」— 止まるだけ

省略できるのは「止める届出」だけです。未支給年金は請求しなければ振り込まれませんし、遺族年金も同じです。止める方が自動で、受け取る方は手動。この非対称を知らずに、受け取れるはずの数十万円をそのままにしているケースは少なくありません。

「遺族年金は妻だけのもの」— 夫も対象になり得る

かつては妻に偏った制度でしたが、現在は遺族基礎年金は「子のある配偶者」で夫も対象です。遺族厚生年金は夫に55歳以上という年齢要件があるなど条件は残りますが、「夫だから無理」と決めつけずに年金事務所で確認する価値があります。

チェックリスト — 年金事務所に行く前に

よくある質問

年金受給者が亡くなったら何日以内に届出が必要ですか
受給権者死亡届は厚生年金が死亡日から10日以内、国民年金が14日以内です。日本年金機構にマイナンバーが登録されている方は原則として省略できますが、未支給年金の請求は別途必要です。
未支給年金は誰が受け取れますか
亡くなった方と生計を同じくしていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・その他3親等内の親族が、この順位で請求できます。亡くなった月の分まで受け取れ、時効は5年です。相続財産ではないため相続放棄をしていても請求できます。
子どもがいない配偶者は遺族年金をもらえませんか
遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」が対象のため、子のいない配偶者は受け取れません。ただし亡くなった方が厚生年金に加入していれば遺族厚生年金の対象になることがあり、国民年金第1号被保険者だった場合は寡婦年金や死亡一時金の対象になることがあります。年金事務所で加入記録をもとに確認してください。
未支給年金に税金はかかりますか
受け取った遺族の一時所得になります。一時所得には年50万円の特別控除があるため、他の一時所得と合わせて50万円以下なら課税されません。相続税の対象にはなりません。
亡くなった方が年金を受け取る前(現役)でした。何かもらえますか
厚生年金の被保険者期間中の死亡なら遺族厚生年金、子がいれば遺族基礎年金の対象になり得ます(保険料納付要件あり)。国民年金のみの場合は遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金のいずれかの可能性があります。年金事務所で確認してください。

あわせて確認 — 年金の源泉徴収票(準確定申告用)は、受給停止の手続き後に日本年金機構から送られてきます。準確定申告(4か月)が必要かどうかの判断に使います。役所で行う葬祭費の申請や、その他の期限つき手続きは期限順ガイドへ。

※年金額・要件は法改正や年度改定で変わります。本ページは制度の一般的な説明です。個別の受給可否は年金事務所または社会保険労務士にご確認ください。