マーケティングとセールス 二子玉川

人気セレクトショップに学ぶ。商品陳列のコツ。

売れるための商品陳列をTODAY'S SPECIAL(トゥデイズスペシャル)から学ぶ

リアル店舗では、「限られたスペースに、効率的に商品を並べ、各種商品があまねく客の目に留まって売れていく」ことを目指す。

商品の陳列方法は非常に重要で、一日の売り上げを大きく左右するのだ。

このページを見ているあなたは、おそらく小売店の店長やマーケターの方で「どう並べればもっとも効率的に売れていくのか」を一生懸命考えているのだろう。

「商品陳列」というテーマは、何十年も前から研究されている、いわば「古典」であり基本的な考え方やノウハウを整理した本が色々と売られている。

縦陳列、横陳列、グルーピング、ジャンブルなど一般的なやり方はすぐに学べるだろう。

そこで今日は、「これからの商品陳列」といえる、一歩先の考え方を分析、紹介したい。

何かというと「生活の場面を想起させる商品陳列」だ。

お手本は、2023年に新規オープンした「TODAY'S SPECIAL(トゥデイズスペシャル)」二子玉川店だ。

「生活の場面(シーン)を想起させる商品陳列」とは?

これまでの陳列方法の基本は「カテゴリごとに商品を並べる」「最も手に取りやすい高さ(ゴールデンゾーン)に主力の商品を置く」などだ。

特にコンビニエンスストアやスーパー、ユニクロ、無印良品などの店舗は陳列方法の基本を守っていて、実際の店舗をのぞいてみれば基本を理解することはたやすい。

これはもう「普通」になっているので、ここからブレイクスルーするためには新しい考え方を採用することが重要だ。

それが「生活の場面(シーン)を想起させる商品陳列」だ。

言葉で説明するよりも見たほうが早い。

朝食のシーン

パンまたはパンケーキを食べることをイメージした商品の陳列となっている。

おしゃれな陶器皿、スプーン、フォークなどのカトラリー類から、パンケーキの粉やパンケーキ用のシロップ、はちみつなどが並んでいる。

こうすることで「これとこれを組み合わせて、朝はこんな感じで過ごす」と人間の脳は「私の家での朝食のシーン」を一瞬で想起するのだ。

「未来のいい感じの朝食」を実現するために、どんな皿がいいか。木のフォークがいいか。パンケーキの粉も厳選されたものがいいよね・・・となる。

「皿は皿で陳列」「カトラリーはカトラリーで陳列」「パンケーキは粉モノのコーナーに並べよう」という従来の陳列方法ではこうはならない。

商品を買うのは「よりよい私の(私たち家族の)将来を実現し、いい気持ちにするため」なのだ。

これが顧客心理を理解したマーケティング・セールスでは最も重要なことで、TODAY'S SPECIALはこのポイントを抑えるのが最高にうまい。

朝食のシーンその2

これは別の陳列棚なのだが、バルミューダのトースターと電子ケトルが置いてある。

横には「ジャムとパンのレシピ」などの書籍が置いてある。

すぐ下には、バターナイフ(スチール、木など色々)と、パンに塗る「ゆずクリーム」「レモンバタークリーム」「ピーナツバター」などパンを美味しく食べるためのアイテムが並んでいる。

その下にはオシャレな皿、マグカップ、小物類だ。

これまでの常識なら「トースターを1つだけ置く」は考えられないわけだが、これはライフスタイルの提案なのだ。

素人ならバルミューダのトースターの横にアラジンのトースターも置きたくなるだろう。そうでなくともバルミューダの色違いを置きたくなる。

が、目的はライフスタイルの提案であり「より良い朝食の場面(シーン)をイメージしてね。こんなアイテムをあなたの食卓にも置いてみません?」というメッセージを伝えることなのだ。

ごはん食のシーン

今度は「ごはん(お米)」だ。

土鍋とおひつ。ふりかけなどのごはんのお供。茶碗やレンゲが並んでいる。

私はこのコーナーで一番テンションが上がった(笑)。

ごはん食べたくてしょうがなくなるし、「こういうアイテムに囲まれて食べるごはんはイイ感じだわー」と一瞬で脳が「私のよりイケている未来」を想起するのだ。

普通の雑貨店は、土鍋コーナーに土鍋を置く。ふりかけと土鍋を並べたりはしない。しばらく観察しているとこのコーナーはかなり人気があって、ホイホイ商品が売れていった。

そりゃそうだよね。ふりかけの破壊力だけみても半端じゃない。

「和牛しぐれ」「しそわかめ」「おかずしょうが」とか。見た瞬間「どれにしようかな」と思っているし、そう思わせたらこの陳列は勝ち。

ワインやお酒を楽しむシーン

ワインボトルとワイングラスが並んでいる。

メインはグラスだが、ワインボトルと様々なシロップ、マドラー、ワインに関する書籍などが脇を固めている。

これも「お酒を楽しむアイテムたち」のライフスタイルの提案である。

もちろん、基礎基本も抑えていて、一番売りたいのはスタンダードなワイングラスだ。「ゴールデンゾーン」に売れるもの、売りたいものをしっかり置いている。

基本は外さない。人間の心理も外さない、という優れた戦略である。

遊び心と「能動的に商品選びをしてもらう」工夫

イケている店舗は、それだけに留まらない。

遊び心。エンターテインメントの要素もあるのだ。

HAKARU(ハカル)というコンセプトの商品陳列がそれだ。

ナッツ類、ドライフルーツ類を自分でチョイスして購入することができる。

入れ物もオシャレで多彩。こういうの楽しくなる。

ナッツ類のチョイスは他の店でも見たことがあるが、「洗剤」「クリーナー」を自分でチョイスして選ぶというコンセプトは初めてみた。

洗剤は女性のこだわりがあり、自然に優しいものや、手肌を傷めないものを厳選して選ぶ方が多い。

しっかり長文の説明文が記載されているし、その紙は持って帰ることもできる。「お客様にこうしてほしい」がものすごく分かりやすいし、優しさを感じるコーナーなのだ。

こうやって優しさをユーザーが感じることで、このブランドを好きになっていく。

TODAY'S SPECIALは売れるだけでなく、ずっと愛され、ブランドとして好ましいイメージをもたらす商品陳列を実現しているのだ。

おまけ【TODAY'S SPECIALとは】

TODAY'S SPECIALは東京都を中心に店舗を展開している人気雑貨店である。女性にとても人気でどの店舗も賑わっている。

運営している企業は「WELCOME GROUP」で、「DEAN&DELUCA」も手掛けている。

2000年、たった1軒の雑貨屋からスタートして、いまや人気ブランドを複数手掛ける企業に成長している。

雑貨店や飲食店を経営している人たちからイチモクおかれる企業。

おまけ:商品陳列の基礎を学ぶなら

店舗の見せ方アドバイザー、佐藤さんの書籍がお勧めです。

特に「店に気軽に入ってもらうため」のノウハウと、「選ぶストレスを軽減する」商品陳列の基礎が学べます。

入りやすい 選びやすい 買いやすい 売場づくりの法則

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