マーケティングとセールス

マーケティングとは?簡単にいうと何か?5分で分かる企業のマーケティング基礎

マーケティングとはどのような考えなのだろうか。

大きな企業にはマーケティング部というセクションがあり、報道番組や新聞の経済欄には「マーケティング」というキーワードが数多く掲載されている。

新しい商品を発売するときや、提案活動をする際に、「しっかりとマーケティングしないといけないね」 「マーケティングこそ重要な活動だ」など、 ビジネスの現場でもよく聞かれる言葉だ。

とても一般的な言葉になっているが、マーケティングについて明確に説明できる人は少ないのが実情だ。

これはマーケティングという言葉が、それほど昔からあるものでないことが理由といえる。

アメリカのミシガン大学でマーケティングという考え方が使われたのは、1902年だといわれている。

日本では、 1955年に初めてマーケティングという言葉が使われるようになったので、まだ歴史は浅い。企業でマーケティング活動を重要視しはじめたのは2000年以降といえる。
そうしたこともあり、ある人は「マーケティングリサーチ」のことを略してマ-ケティングと言ったり「新商品を開発すること」や「見込み客を獲得すること」をマーケティングと言っていたりする。

どれも外れていないがマーケティングを説明するには十分ではない。

マーケティングとは、市場を意味する「Market」に動名詞形の「~ing」が組み合わされた言葉で英語の意味で捉えるならば、「市場での取引」や「市場での取引を続ける」ということになる。

市場には、商品を購入する客と、同様の商品を販売している競合企業が存在している。

マーケティングとは、市場での取引を続けるために、競合企業との違いを明確にして、客との関係を良好に保つための活動と捉えることができる。

そのためには、 リサーチしたり、新商品を開発することが求められます。そうした一連の活動のことを包括しているのがマーケティングという考え方である。

現代のマーケティングの根幹は「売り込まなくても売れるしくみをつくること」

高度経済成長期の日本は、供給よりも需要のほうが多い状態だった。つまり多くの顧客が少数の商品を欲しているという状況である。

「作れば売れる時代」といわれ、生産・仕入に重点が置かれていた。そして企業の生産体制が整い、需要に対して十分な商品を提供できるようになると、需要と供給がほぼバランスのとれた状態となった。

この時代になると「営業力」にフォーカスをあてたマーケティング活動が求められるようになる。

さらに時代は進み、バブルが崩壊した1990年代以降の日本では、ほとんどの商品が国民に行きわたり、不自由のない生活を送ることが可能となった。

技術が進展し、あらゆる商品が誰にでも製造することができるようになったのである。その結果モノの価格は低下し、デフレ時代に突入する。

供給が需要を上回る「モノ余りの時代」である。

現代は、商品購買の選択権は完全に客側にあある。

客は、多くの商品の中から選ぶことができる状態にあり、 いくらスペックの高い品質の商品を売りたいと企業が考えても、受け入れられなければ売れない。

こうした時代では、「売り込み」をすると警戒されることになる。例えば何かを購入しようとショップへ入ったとたんに店員が近寄ってくれば、多くの人が拒否反応を示す。(とはいえ、現在でも日常的にこうした行為は行われている・・・)

これは小売業だけにあてはまることではない。テレビCMでも自社商品の良さだけを一方的に伝えているものは心に残らない。

なぜなら「自分で選びたい」という欲求があるからだ。

多くの選択肢の中で、企業側から(強引に)勧められるのではなく自分の責任で商品を購入したいのだ。

そのため売る側は「売り込みしなくても売れるような環境を整えるマーケティング」が不可欠になる。

売り込みをしなくても商品が売れるようにするには客が真に望んでいることを解決する、顧客志向の商品が求められる。

さらに2000年以降は、 これまで民間企業で活用されてきたマーケティングを、 自治体や非営利組織でも展開する動きが見られるようになってきている。これらはソーシャルマーケティングと呼ばれている。

売ったあとのこと(継続的な購入)を考えておくこともマーケティングの勘所

マーケティングは、セールス(営業活動)と比較されることが多い。

セールス(営業活動)は、 6カ月や1年の間に多くの売上を上げ、一定の営業成績を残すことが目的となる。

したがって、短期的に成果を上げるために商談力やプレゼンテーション能力、提案営業力などの営業スキルを高めることが求められる。

それに対してマーケティングの目的は顧客満足を得てリピート(2回目以降の購買)を得ることなど、売ったら終わりというスタンスではなく継続的に購入してもらえるような売れる仕組みを作ることが求められる。

マーケティングがリピートやサブスクリプションモデルを重視する理由は、新規取引と比べてコストが少なくてすむからだ。

新規の客を獲得するのには広告宣伝をしたり、 プロモーション、 PR活動など多くの工数やコストがかかる。

それに対して一度取引をしたお客様と良好な関係を築くことができれば取引に関するコストは少なくてすむ。

業界や商品の特性によっても違うが、新規の顧客を獲得するのには、既存顧客からのリピートを得るのにかかるコストのだいたい6倍から8倍かかるといわれている。

そしてリピートを生むのは「最初が肝心」である。

例えばあなたがカッブラーメンを購入したとする。

パッケージにはおいしそうな写真が掲載されていたが食べてみると自分のイメージしたものと異なったとしよう。

そうであれば、二度とそのカッブラーメンを買うことはない。

つまり最初に購入した際に満足できるかどうか(満足させることができるかどうか)が、 リピート購入の重要なポイントになる。

そのためマーケティングでは「客の満足」を中心課題として考えることが必要で、顧客が出発点となる。

販売方法も単に自社の強みを活かす営業チャネル(既存の流通経路)を活用するのではなく顧客の視点に立って顧客の状況に合わせた販売チャネルを構築していく必要がある。

マーケティングは時間がかかる

こうしたマーケティング活動は、広告宣伝やプロモーションなど多くの工数がかかるので、時間軸は3~5年といった中長期の観点で検討していく。

達成感などの売り手満足ではなく、顧客満足を活動の中心におくことが重要でありすべての活動を客の立場で考え、実行することがマーケティングを成功させるための基本といる。

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