売れない、は地獄である。どうすれば売れるのか。逆転するためのノウハウ。

「売れない」を逆転する。売れる思考と技術

マーケティングとセールス

大企業の市場調査の例を見てみよう。基本は仮説検証のスタイル

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マーケティングのスタート地点として「市場調査」がある。

英語でいうとマーケティングリサーチ。

「こういう商品(またはサービス)を売りたいな」と考えたとき、その商品の市場規模はどのくらいあるのか?ライバルにはどんな相手がいるのか?など色々な情報を把握することが市場調査といえる。

中でも最も重要なことは「この商品は売れそうか?」である。

商品を買うのは「人」なので、「人に聞いてみる」ことになる。昨今の主な市場調査の手段は「商品をモニターしてもらって意見を聞いてみる」「ネットなどを使って”この商品をどう思うか”アンケートをとってみる」などが主流だ。

市場調査専門の会社はどんなことをしてくれるのか?

こういう調査を代行して実施する調査専門会社もいくつかある。

調査専門会社がやることは・・・

  • ネットリサーチ(Webを使ったアンケート)
  • グループインタビュー(集団に対するインタビュー)
  • デプスインタビュー(一対一のインタビュー)
  • 会場調査(試飲や試食に向いている)
  • ホームユーステスト(家庭で日用品などを試してもらう)
  • アイトラッキング調査(ユーザーの視線を調べる)
  • コミュニティリサーチ(特定の属性の人を集めて対話の機会を設ける)

など、様々なものがある。

市場調査の手法も時代とともに進化しており、単に「興味のありそうな人を集めてインタビューしてみる」「商品を試してもらう」だけでなく、コミュニティリサーチのように「対象のジャンルについて対話してもらい、そこから”潜在的なニーズを知ろうとする”」などの手法もあるのだ。

調査会社にはいつでも頼める。まずは自社で仮説を立てて検証する。

お金さえ払えば、調査会社はあらゆる調査をしてくれる。

もちろん、コンサルティング的なこともしてくれるし、様々な調査手法~分析のレポートを出してくれるだろう。

しかし、すでにある商品もこれまでなかった商品でも、いきなり本格的な市場調査をするのは、非効率であり非生産的だ。

提供する側として、訴求点や課題などの焦点が定まっていないので、あれもこれも調べたくなる。

そして細部まで「何を知りたいか」が詰められていないのであとから抜けや漏れが出てくる。

せっかく調査したのに役に立たず、一からやり直さなければならなくなったりすることも少なくない。

少なくとも「この商品を売ろう」という人、もしくはそのグループは、これに関しては何らかの見識があり、様々なことを知っているはずだ。

売る側の人間も、ひっくり返せば一人のユーザーであり、ユーザー目線で様々なことを考えることはできる。

なのでまずは「仮説を立てて、ある程度の検証や調査を自分達で行う」ことが重要になる。

例として。ネスレ「ネスカフェアンバサダー」が生まれたときの市場調査

いきなり大がかりな調査をせず、身の回りでやってみる、という市場調査の好例がネスレの「ネスカフェアンバサダー」誕生までのプロセスである。

2008年頃、ネスレ日本は、家庭向けのコーヒー市場ではネスカフェが約70%のシェアを持っていたのに対し、家庭外のコーヒー市場では3%のシェアしか獲得できていなかった。

そこで2009年に、家庭向けとして売れていたコーヒーマシンをオフィスに売り込むことを考えたのである。

つまり「既存の商品ではあるが、新しい市場で受け入れられるか」を知りたい、というのが市場調査の目的といえる。

そこで家庭用のコーヒーマシンを少しアレンジしてオフィス向けのセットをつくっていくつかの会社に営業してみたところ、すでに自動販売機がある、わざわざ「コーヒーマシンを買ってまで」置こうとは思わない、などといった反応が返ってきて、まったく売れなかったのである。

それはそうだろう。

大きな会社なら休憩ルームのようなものがあり、周辺に自動販売機が置かれてたりする。焙煎して出してくれるコーヒー用の大型マシン(高速道路のSAでよく見かけるアレ)もあったりするわけだから。

一杯30円くらいでお湯を注げばコーヒーが出来る、という簡易的な商品もあり、ライバルはとても多い状況だった。

そんな環境の中、東日本大震災のボランティアとして被災地を担当者が訪問した際、利用者の少ない集会所にマシンを設置したところ、住人たちの交流の輪が生まれていったのを目撃する。

それをきっかけに、「コーヒーマシンを売るのではなく、マシンは無料で提供して、コーヒー代で収益を上げる」というビジネスモデルを思いつき、試しにモニターを募集してみると一週間で1000件を超える応募があったそうだ。

「マシンを売るのではなく、マシンを無料であげて、コーヒーを売る」ならニーズがありそうだ、という手ごたえをここで得たのだ。

その後、広告費用の安い北海道でテレビCMを10日間流したところ、1200件の申し込みがあり、オフィスでの活用目処がたったことで2012年から「ネスカフェアンバサダー方式」を本格的に展開することになったのである。

ちなみに当初は「オフィス・アンバサダー」と名づけていたが、病院・学校・消防署・船舶などオフイス以外の職場からの申し込みが半数近くあったことから「ネスカフェアンバサダー」に改名した。

ネスカフェアンバサダーのCMは2019年になっても流れており、職場でネスレのコーヒーマシンを使って作りたてのコーヒーを楽しむ、という光景は日常的なものとなっている。

身近なところからヒントを得ていく、という市場調査の好例だが、ここに「市場調査専門の会社」によるユーザーアンケートなどは介在していない。

まず「オフィスでコーヒーマシンは受け入れられるのか」という課題から始まり、実際にいくつかのオフィスで試してもらったり、聞いてみたり、ということからスタートしている。

例としてネスレを挙げたが、大企業でもこのようなやり方でヒット商品を生み出すのだから、もっとスモールなビジネスは小さくテストしていい。

モニター調査をするにしても、自分の知り合いや友人、近所の人など、お金をかけずに試してもらうことや意見を聞くことは可能だ。

そういったところから始め、気づきを得て、その後に本格的な市場調査が必要になれば頼めばいい。

あまり難しく考えず、専門的に考えない(専門用語を使って分析をしたりしないこと)ことが大事だ。

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