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親が元気なうちに確認しておくこと — 30項目のリストと、切り出し方

親が入院した。あるいは亡くなった。そのとき子どもが直面するのは、悲しみと同じくらい「わからない」です。どの銀行に口座があるのか、保険は何に入っているのか、実家はどうしたいのか、誰に連絡すればよいのか。これらは亡くなった後の期限つき手続きの入口で全部必要になるのに、親が元気なうちにしか聞けません。このページは、聞いておくべき30項目を4つの領域に分け、聞く順番と、角が立たない切り出し方を整理したものです。

確認する領域
4つ
お金・住まい・介護と医療・つながり
項目数
30
一度に聞かない。1回1〜2項目
最初に聞く
「どこにあるか」
金額や中身はあとでいい
残し方
1枚の紙
親と子が同じものを持つ

なぜ「元気なうち」なのか — 困る順番で考える

親に何かあったとき、子どもが困る順番はだいたい決まっています。①入院の連絡がどこに来るか・保険証はどこか、②入院費をどの口座から払うか、③施設や延命の希望は何か、④亡くなったら誰に知らせるか、⑤口座・保険・不動産はどうなっているか。①〜③は親の判断力があるうちでないと聞けず、④⑤は亡くなってからでは探すのに数か月かかります。聞くのは「金額」ではなく「所在」と「希望」。これを最初に決めておくと、親の抵抗感がかなり減ります。

確認リスト30項目

お金(所在だけでいい)

住まい(実家をどうしたいか)

介護と医療(希望だけ聞く)

つながり(誰に知らせるか)

聞く順番 — 最初の3回はこれだけ

1回目「保険証と通帳、どこに置いてる?」— 所在だけ。入院のときに困るから、と理由を添える。ここで金額や相続の話はしない
2回目「かかりつけの先生ってどこ? 薬手帳ある?」— 介護医療の入口。病気の話ではなく「連絡先」の話として
3回目「もしものとき、誰に知らせてほしい?」— つながりの話。親の交友関係は子どもには見えない。リストを一緒に作る
4回目以降実家をどうしたいか、葬儀の希望、延命の考え。ここは親の側から話が出るのを待つか、「友達の家で〜があって」と他人の話から入る

全部を一度に聞こうとしないこと。年末年始・お盆・誕生日と、顔を合わせる機会に1つか2つ。半年で10項目進めば上出来です。

角が立たない切り出し方

正面から「終活の話をしよう」と言うと、親は「死ぬ準備をさせられている」と感じて口を閉じがちです。入口は、自分の話か、他人の話にするのが角が立ちません。

「わからない」のコスト 亡くなった後に口座や保険を一から探す場合、戸籍一式と残高証明で数千円、生命保険契約照会制度で3,000円、銀行の全店照会は無料でも銀行ごとに数週間。見つからない口座は10年で休眠預金。お金より大きいのは時間で、所在がわかっていれば1日で済む手続きが、探しながらだと数か月になります。

聞いておくと、もしものときに何日で済むか

入院時保険証・お薬手帳・かかりつけ医がわかれば当日中に手続き完了。わからないと、保険証の再発行や薬の確認で2〜3日
亡くなった直後(7日以内)死亡届・火葬許可。葬儀の希望(形式・宗派・呼ぶ人)がわかっていれば、葬儀社との打ち合わせが1回で済む
14日以内役所の届出(保険・介護・世帯主)。保険証の場所がわかれば半日
〜3か月借入・保証の有無がわかっていれば、相続放棄の判断が1か月早まる。わからないと信用情報の開示から(2〜3週間)
〜10か月口座・保険・不動産の所在がわかっていれば、相続税の要否判定と銀行の手続きが2〜3か月で終わる。探しながらだと半年以上

30項目のうち、所在に関する10項目がわかっているだけで、亡くなった後の手続き期間は目安で半分になります。親の希望に関する項目は、時間ではなく「後悔の量」に効きます。

聞いたことの残し方

補足
親が話したがらないとき、無理に聞き出す必要はありません。「保険証の場所だけ」「連絡先リストだけ」と範囲を最小にして、1つ通ればそれで十分。通った1つが、次の話の入口になります。最初の会話の目的は情報を得ることより、「この話をしてもいい関係」を作ることです。

誤解されやすいこと

「相続の話をするのは、財産を狙っているようで気が引ける」— 聞くのは所在と希望

金額を聞く必要はありません。どこに何があるかと、親がどうしたいか。これは財産の話ではなく、親が困らないため・親の希望を叶えるための話です。そう伝えると、親の受け止め方が変わります。

「うちは財産がないから関係ない」— 手続きは財産の有無と関係なく発生する

口座が1つでも、保険が1本でも、亡くなれば解約の手続き役所の届出は必要です。財産が少ない家ほど、探す手がかりも少ない。所在リスト1枚の価値は、財産の多寡と関係ありません。

よくある質問

親が話したがりません。どうすればよいですか
範囲を最小にして「保険証の置き場所だけ」「連絡先リストだけ」から。他人の話や自分の話を入口にし、実務の話として切り出すと抵抗が減ります。話すより書く方が楽な親には、30項目を印刷して渡す方法もあります。
何から聞けばよいですか
「保険証と通帳の置き場所」「かかりつけ医」「もしものとき連絡してほしい人」の3つです。いずれも金額や相続に触れず、入院のときに困るからという理由で聞けます。
聞いた内容はどう残せばよいですか
口座の銀行名・保険会社名・書類の置き場所・連絡先を1枚の紙にまとめ、親と子が同じものを持つのが基本です。金額や暗証番号は書かない。置き場所を決めて、年に1回の更新を。
きょうだいで意見が割れそうです
聞く役割を分け、聞いた内容は全員で共有します。所在リストを1枚にしてきょうだい全員が同じものを持つと、「知らされていなかった」という不信が生まれにくくなります。
親に遺言を書いてもらうべきですか
不動産がある、再婚している、子どもの一人に介護の負担が偏っている、といった事情があれば遺言の意味は大きいです。ただし最初に切り出す話題としては重いので、所在と希望の確認が進んでから、司法書士や公証役場の相談会の話として持ち出すのが現実的です。

あわせて確認 — 聞いたことが実際にどう使われるかは亡くなった後の手続き 期限順ガイドで確認できます。親自身が書く側の話は自分の終活を始める、頼れる家族が近くにいない場合はおひとりさまの備えへ。

※医療・介護の希望は本人の考えを知るためのもので、治療の判断は医師にご相談ください。本ページは一般的な説明です。