マーケティング活動はビジネス活動においてどのような位置づけなのか。
まず、企業におけるマーケティングの目的は「商品とお金とのハッピーな交換」といえる。企業は価値を顧客に提供し、顧客から利益を享受する。
そのためには、「どういった交換が望ましいのか」を考える必要がある。
たとえば、自社の商品Xがあるならば、提供する相手によって、もらえる金額は変わってくる。「商品Xを“とても“ほしいと思っている人」に提供することができれば、もらえるお金は高くなる。
しかし、「商品Xを”少し”ほしいと思っている人」に提供するときは、購入は条件しだいになってしまい、「価格が安い」「景品がついている」などの条件がつけば自社の持ち出しが増えて、もらえるお金は低くなる。
まして、「商品Xをほしいと思っていない人」に提供しようとしても交換そのものが成立せず、もらえるお金はゼロになってしまう。
つまり、「少しだけほしい人」は自分たちが満足いく交換に近くなるわけだ。
消費者側から見てみると、ある商品カテゴリーで商品を探している人にとって、「自分がほしいと思っている特徴Xを持っている商品」は満足度が高い商品である。
そのため、支払う金額もより高くなります。
しかし、Xとは異なる特徴Aの商品Aでは“期待値以下”なので、購入は条件しだいとなる。また、さらに希望に沿わない特徴Bの商品は“期待と異なる”ので購入そのものがされない。
つまり、消費者がどのような特徴の商品を求めているかを知ることができれば、企業側も満足できる仕組みになっている。
このように「商品とお金のハッピーな交換」は必ずしも自動的に行なわれるわけではない。そのため「誰に(これをターケテイングといいます)」「何を(これをポジショニングといいます)」という矢印を考えながら提供することは重要なテーマである。
マーケティングは「商品とお金のハッピーな交換点」を見つけて実現し、それをさらに増やしていく活動だといる。この活動によって、ビジネスの目的である利益創出を実現させていくのだ。
時代の変化でマーケティングの内容も変化した
社会が変化すれば、生活も変化する。それにともなって、消費者も変化していく。
マーケティングは、1960年ごろに学術的に成立した比較的最近の知識体系であり同時に、社会の変化にともなって内容も大きく変化してきた。
たとえば、マーケティング・ミックスとしてポピュラーな4Pも、メーカーなどの製品中心に組み立てられた区分である。
経済が拡大するにつれて、サービス産業も大きくなり、こういった4Pでは対応がむずかしくなった。そのため、4Cや7Pといった別の知識体系で説明するほうがスムーズになってくるなど、ビジネスのフレームワークも変容している。
また、B2Bと呼ばれる中間財や生産財の産業では、従来のマーケティングとは無縁とされてきた。しかし、マーケティングの原理は活かしながら、新たなフレームでB2Bマーケティングの仕組みを作ろうという動きも多くなってきている。
マーケティングはビジネスの一部であり、そこでは共通した"指標”が必要となる。
企業経営という視点から見ると「利益」「シェア」が二大指標でありその両方の中心にある「売上」が活動目標となりやすい構造となっている。
利益は、「売上ー経費(変動費+固定費)=利益」であり、「売上÷市場規模=シェア」といった式で二大指標の関係を表わすことができる。
このとき、活動目標となる「売上」はマーケティング活動にとっても重要な指標となるのだが、マーケティングの目的である「商品とお金のハッピーな交換」は見えてこない。
そのため、これをマーケティングの世界の単位に置き換える必要がある。
「売上=顧客数×商品単価×購入頻度」とすることで、「誰に」「何を」を語れるレベルにする。
その一方で、マーケティング業務では現場で起こっている交換を、ビジネスで扱える単位の「売上」として翻訳することも求められる。
マーケティング業務では、「交換」という単位がポイントになるが企業全体を考えると単に「商品とお金のハッピーな交換」ということだけではなく、企業自体が存在している地域や国、地球といったコミュニティにも配慮をする必要がある。
CSRという、企業の社会的責任といった視点もマーケティング活動には求められる。
マーケティング活動をするにあたって、「自社」「顧客」「コミュニティ」という3つの立ち位置がある。
まず、マーケティング活動の基本である「自社」と「顧客」との交換によって利益と価値をそれぞれが求めることになる。
しかし、利益と価値は「コミユニティ」を考慮したものでなければならないのだ。