ベネフィットを開発することが、 マーケティング成功のための最大のポイントだ。
ここではベネフィットが具体的にどのようなことなのかコーヒーショップの事例を用いて説明していきたい。
スタバとドトールは何が違うのか?
日本国内で現在コーヒーショップの代表的なチェーンというと、スタバとドトールが思い浮かぶ。
どちらにも「おいしいコーヒー」があるがベネフィットという観点では全く異なる。
スタバは「コーヒーの香り」をとても大切にしちえる。店舗の外まで漂う香りにつられてつい店内に入ってしまうくらい、良い香りを提供している。
そのために日本進出の早い段階から全席禁煙を徹底しており、それは飲み物としてのコーヒーおよびその香りという手段を用いて「リラックスできる癒しの空間」を大事にしているからだ。
そのベネフィットを提供するため、座り心地のよいソファや品のよい絵画、ゆったりとできる店内レイアウトなどへの配盧を徹底している。
一方でドトールでは喫煙できる店舗が多い。分煙がなされている店舗がほとんどだが、基本的に店内で煙草を吸うことができる。
コーヒーもスタバと比較すると安価に提供している。喫煙者も非喫煙者も問わず「気軽にコーヒーを楽しむことができる」がドトールの提供しているベネフィットなのだ。
安価なコーヒーを提供するために内装はスタバほど凝る必要はない。できるだけ多くの客に利用してもらうために席は比較すると狭い。ドトールの店内を観察しているとコーヒーを楽しんだら、すぐに席を立つ客がほとんどだ。
短時間でもコーヒーや煙草でリフレッシュしたい、 そんなニーズを取り込んでいることがわかる。
どのようなメリットを提供するか
同じコーヒーショップであっても、提供しているベネフィットは全く異なるのだ。
そしてベネフィットを起点として内装や提供商品、店の取り決め(禁煙など)が検討されている。
ドトールにすてきな絵画・・・はあまり必要ではない。
店員の動き(オペレーション)もベネフィットが起点になる。
スタバでは1杯ずつ丁寧にコーヒーを滝れているので注文し会計する場所と商品を受け取る場所が異なる。
対するドトールは墓本的に注文会計した場所でコーヒーを受け取る。ここから、両店が対象としている客層そのものが違うということに気付く。ざっくり分けるとスタバは時間に余裕のある少しリッチな人。ドトールは忙しく働く人と考えることができる。
ターゲットとベネフィットがあいまいなお店はNG
スタバとドトールは、対象とする客、提供するベネフィットが違うため、競合せずに互いのビジネスを成長させてきた。
逆 にいうとターゲットとベネフィットがあいまいなお店は他店との差をアピールすることができず、客に選ばれる機会を逸している。
つまり、 どのようなメリットを提供するか「ベネフィット」を起点とすることが重要であり機能や技術ありきではないのだ。
消費者は、商品やサービスの魅力を感じないと購買することはない。
いくらメリット(ベネフィット)を与えるモノであっても、その商品・サービスのコンセプトが伝わらなければ意味がない。
そのためにもまずは消費者がその商品のコンセプトを知って、賛同してくれることが必要だ。
スタバの例であれば、「リラックスできる癒しの空間」ということになる。
このコンセプトの良し悪しを消費者が評価し「リラックスできる癒しの空間」に魅力を感じて「自分も行ってみたい」と思ってもらえば新規の顧客になる。
この段階では実際に客はスターバックスへ行ったことがないので言葉だけ、 コンセプトだけで評価を受けるということになる。
したがって、最初に購入してもらう際にはコンセプトを磨かなければいけない。このコンセプトにはベネフィットが含まれていなければならないし、他の商品との違いが明確でないと、 自社商品・サービスを選んではもらえないのだ。
リピート購入の決め手は「満足」
さらに、利用してみて満足したのか、しなかったのか(不満足)によってリピート購入してもらえるかが決まる。
ここでは商品サービスの成果が問われる。スタバでは「リラックスできる癒しの空間」によって素晴らしい時間を過ごすことができたかということだ。
ゆったりとできれば満足で、次もまた利用しようと考える。
反対に団体客が大勢いてガヤガヤした店内ならば不満足になり二度とその店には行かなくなる。
大事なのは2点でまずは客のベネフィットを考えて魅力的なコンセプトを作成するということ。そしてコンセプトを裏切らない商品内容とすることだ。
最悪なのはコンセプトに魅力を感じ商品を購入したのに、実態がそれに見合わなかった場合だ。
客の期待を裏切った場合、その商品・サービスが売れなくなるということだけでなく、企業自体の姿勢に関わる問題にまで発展していくこともある。
「この会社のいうことは当てにならない」「前にも編された」となってしまうので、コンセプトに誇張した表現を用いることは避けなくてはならない。