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親の介護が始まるとき — 最初の窓口、申請の流れ、お金の目安

親の入院・退院、転倒、物忘れ。「そろそろ介護かもしれない」と感じたとき、何から手をつければよいか。答えは一つで、親の住所地の地域包括支援センターに電話することです。介護保険の申請、ケアマネジャーの紹介、使えるサービスの整理は、すべてそこから始まります。このページでは、申請から利用までの流れ、自己負担の目安、ケアマネジャーの決め方、遠距離の場合の段取りを、手続きの順に並べます。治療や健康状態の判断はかかりつけ医に。ここで扱うのは制度と段取りです。

最初の窓口
地域包括支援センター
親の住所地。無料
認定まで
原則30日
申請日にさかのぼって利用可
自己負担
1〜3割
所得で決まる。上限額あり
対象
65歳以上
40〜64歳は特定疾病の場合

最初の1週間でやること

申請から利用までの流れ

申請市区町村の窓口(郵送・代行可)。申請日から介護保険は使い始められる(暫定利用)
認定調査(1〜2週間後)調査員が自宅や病院を訪問し、74項目を聞き取り・確認。所要1時間前後。家族が同席し、普段の様子を補足するのが重要(本人は「できる」と答えがち)
主治医意見書役所が主治医に依頼。家族の手続きは不要
審査・判定コンピュータ判定+介護認定審査会。申請から原則30日以内に結果通知(遅れる自治体もある)
結果非該当/要支援1・2/要介護1〜5 の8段階。要支援は地域包括支援センター、要介護はケアマネジャー(居宅介護支援事業所)がケアプランを作る
利用開始ケアプランに沿って事業者と契約。認定は原則6か月〜(更新は12か月〜最長48か月)ごとに更新。状態が変われば区分変更の申請

自己負担と費用の目安

介護保険のサービスは、かかった費用の1割(一定以上の所得で2割、現役並みで3割)を負担します。要介護度ごとに月の「支給限度額」があり、その範囲内なら負担は1〜3割、超えた分は全額自己負担です。

目安の計算 要介護1の支給限度額は月およそ16万7,000円(単位を円換算した目安)。限度額まで使い1割負担なら月約1万7,000円。要介護3(約27万円)なら約2万7,000円、要介護5(約36万円)なら約3万6,000円。これに食費・日用品・限度額超過分・介護保険外のサービスが加わる。1か月の自己負担が高額になれば「高額介護サービス費」で上限(所得区分により月1万5,000円〜14万100円)を超えた分が戻る。

施設入所(特別養護老人ホーム・老人保健施設)は、介護費の1〜3割に加えて居住費・食費が別で、月10万〜15万円前後が目安(所得が低い場合は負担限度額認定で軽減)。民間の有料老人ホームは入居一時金と月額20万〜30万円台以上と幅が大きく、別の検討になります。限度額や負担区分は年度で変わるため、具体額は市区町村の最新の案内で確認を。

ケアマネジャーの決め方

使えるサービスの種類

自宅で訪問介護(ヘルパー)、訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリ、夜間対応、定期巡回
通うデイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリ)。入浴・食事・機能訓練。家族の休息にもなる
泊まるショートステイ(短期入所)。家族の出張・冠婚葬祭・休養のとき
環境を整える福祉用具のレンタル(ベッド・車いす・手すり)、購入(年10万円まで1〜3割負担)、住宅改修(上限20万円・1〜3割負担。手すり・段差解消)
住まいを変える特別養護老人ホーム(原則要介護3以上)、老人保健施設、グループホーム(認知症)、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅
補足
介護で多い失敗は「家族だけで抱えてから申請する」ことです。限界が来てから申請しても認定まで30日かかり、その間は家族が倒れます。「まだ大丈夫」のうちに申請しておくと、非該当でも地域の総合事業(介護予防)が使え、状態が変わったときすぐ区分変更できる。申請は早すぎることがありません。

遠距離介護の段取り

親と話すときに

「介護保険の申請をしよう」と切り出すと、「まだそんな年じゃない」と返ってくることがほとんどです。切り口を変えます。「手すりを付けるのに補助が出るらしいから、申請だけしておこう」「お風呂が大変なら、週1回でも誰かに来てもらえる」と、制度の話ではなく、困っている場面の話にする。地域包括支援センターの職員に親と直接話してもらうのも、第三者の言葉が入るぶん通りやすい方法です。親の希望(自宅で暮らしたい、施設は嫌だ)は、元気なうちに聞いておく30項目の中でも、この段階で最も効いてきます。

誤解されやすいこと

「介護保険は寝たきりになってから」— 要支援から使える

要支援1・2でも、介護予防のデイサービスや訪問型サービス、住宅改修、福祉用具が使えます。「まだ歩ける」段階での手すりと運動が、要介護への進行を遅らせる目的で制度設計されています。

「施設に入れるのは親不孝」— 選択肢の一つ

在宅で無理を重ねて家族が倒れると、結局は施設になります。在宅か施設かは、親の状態・家族の体力・費用で決める実務の選択で、どちらが正しいという話ではありません。ケアマネジャーは両方の選択肢を前提に計画を立てます。

チェックリスト — 最初の1か月

よくある質問

介護が必要になったら、最初にどこへ相談しますか
親の住所地の地域包括支援センターです。市区町村が設置する無料の相談窓口で、介護保険の申請代行、ケアマネジャーの紹介、使えるサービスの整理をしてくれます。子どもが遠方でも電話で相談できます。
介護保険の申請から利用まで、どのくらいかかりますか
申請から認定結果まで原則30日以内です。認定調査と主治医意見書をもとに審査されます。申請日にさかのぼってサービスを使い始められるので、結果を待たずにケアマネジャーと暫定のプランを組むことができます。
自己負担はどのくらいですか
かかった費用の1割(所得により2〜3割)です。要介護度ごとの支給限度額内で、要介護1なら限度額まで使っても月約1万7,000円、要介護5で約3万6,000円が目安(1割負担)。高額になった場合は高額介護サービス費で上限を超えた分が戻ります。
ケアマネジャーは自分で選べますか
選べます。地域包括支援センターから居宅介護支援事業所の一覧をもらい、親の家に近く連絡が取りやすいところを。費用は全額介護保険負担で自己負担はなく、合わなければ変更も可能です。
仕事を休む制度はありますか
介護休業(対象家族1人につき通算93日・3回まで分割、雇用保険から賃金の67%の給付金)、介護休暇(年5日、対象家族2人以上で10日)、残業免除や短時間勤務があります。介護保険の申請や施設探しの段階から使えます。

あわせて確認 — 親の希望と情報を先に聞いておくための確認リスト30項目、介護費用の支払いと口座の備えは銀行口座のガイド、身元保証や死後の備えが必要ならおひとりさまの備えへ。親のこれから全体は親のこれからに備えるに。

※限度額・負担割合・制度は年度や自治体で変わります。本ページは制度と段取りの一般的な説明で、治療や健康状態の判断は医師にご相談ください。