マーケティングとセールス

ファストファッションにみる「ビジネス戦略」成功のカギ

ファストファッション、と聞いて、どんなイメージを持つだろうか?

街を歩く人に「ファストファッションとは何ですか」と聞くと、多くの人はZARAやH&Mの店舗を思い浮かべるかもしれない。

そしてそのイメージは「安い服」という感覚とセットである人が多いだろう。

だが、ただ安い服を売る、というだけでZARAやH&Mは世界でも有数の有名企業(ブランド)にはならないのだ。

(※ZARAはスペインのインディテックスという企業が運営し、H&Mはスウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツという企業が運営している)

ファストファッションの雄であるZARAとH&Mはなぜ成功したのか?

ファストファッションブランドには好き嫌いが当然あるし、今後も売れ続けるとは限らない。

マイナス点がないわけではなく、生地がチープ、生産を途上国で行い、厳しい労働条件によって安いコストを実現できている・・・などがあるからだ。

ここでは、ビジネス的に、マーケティング的になぜ成功したのか?という点にだけ注目してみる。

両社は、みずから企画・製造した自社ブランドの衣料品を直営専門店で販売する、製造小売りだ。

両社が登場する以前のアパレル業界は「何か月も前に予測した当たり外れのある流行にもとづいた洋服を計画的に生産してから販売する」というスタイルだった。

なので、当たるときもあれば、外れるときもある。

当たるかどうか分からないので、そう大量には作れない。世界中で同じものを販売する、ということは考え難い、というのが常識だった。

しかしZARAとH&Mは、「いま、まさに流行しているもの、あるいは流行ることがほぼ分かっているものをすぐに取り入れ、週単位で迅速に生産して売り切る」というビジネスモデルを構築した。

「ファストフード」は、注文してからすぐに作る、という意味だが、ファストファッションは少し意味が違う。

売れているもの、売れつつあるものを敏感に察知し、世界中で安く生産し、すぐに店頭に並べるという高度なビジネスモデルなのである。

計画や調査、マーケティング、市場予測・・・など、「それっぽい」「優秀っぽい」ことに時間をかけて力を注ぎこんで、賢く勝とう、とするのではなく、スピード感を重視して実行力に磨きをかける、というやり方だ。

計画と実行のサイクルを高速で回転させることによって、マーケティングの精度を高めており、これは移り変わりの早いアパレルの世界では最も的確なやり方だといえる。

全てのビジネスに当てはまるのか?

当然、全てに当てはまるものではない。手作りの職人の世界(革製品やオーダーメイドの靴など)とは真逆の話だ。

これは「客が何に価値を置いているか」で決まる。

ファストファッションは「丁寧に作られた、高品質の洋服」を求める層には適さない。そもそもターゲット層ではないのだ。

若い世代で、「お金はたくさんないけど、流行の服をたくさん買いたい。たくさんの着回しができるように、色んな種類のトップス、パンツなどを安く揃えたい」という層に確実にマッチする。

客が何を求めているのか?

そもそも我々の客とは誰なのか?

これらを明確にすればするほど、自分達が何をすべきかは見えてくる。

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