ハーレーに乗っている男。
あなたも見たことがあるだろう。
革ジャン&サングラス姿でイカつい大型を乗りまわし、時には集団でツーリングしサービスエリアを席捲するバイカー達・・・。
「なぜ、彼らはハーレーを買うのか?」
あなたはそんなことを考えたことがあるだろうか?
私はそんなことばかりしょっちゅう考えているのだが。
なぜハーレーを買うのか
バイクには様々な種類がある。スクーターから日本製の大型バイクまで。その中でなぜハーレーを選ぶのか。
そもそも、なぜ車ではなくバイクなのか。
ハーレーを買うお金があればそこそこ良い車が買える。車のほうが安全だし雨風に打たれることもない。移動速度でいえばたぶん車のほうが速い。
日本ではバイクを路上に停めていると駐禁をとられる。にもかかわらずバイク専用の駐車場は極めて少ない。
安易に停めると盗難のリスクが高くなる。自宅ならまだしもマンションの駐輪場に停めておくことで盗まれるかもという心配は尽きない。
日常的に乗るうえで、けっこう不便なのだ。
ハーレーを買う「合理的な」理由はほとんどない。
では、なぜハーレーを買うのか。
単に「カッコいいから」では説明がつかない理由があるはずなのだ。
その理由を説明できるようになると「物を買いたくなる心理」というものが分かりやすくなる。
答えは・・・
なぜ、ハーレーを買うのか。
一言でいえば【ハーレーに乗っている自分が好き】だからだ。
ハーレーのオーナーである自分。ハーレーに乗っている自分。同じハーレーを愛する仲間と一緒にいる自分のことを「悪くない。気に入っている」という心理はなんとなく分かるはずだ。
多くの人はハーレーと同じような存在のモノがあると思う。
「こんな自分でありたい」という理想の姿に一歩(人によっては数歩)近づけてくれるのがハーレーダビッドソンという存在であり、ハーレーを愛し、ハーレーを大事にし、男同士のつながりを大事にする俺でありたい。
そういう気持ちが、男を「ハーレーのオーナー」にするのだ。
物語がある品物はそう簡単に作れない
ハーレーの代わりは、ホンダのカブにはできない。ホンダのVFRはかなりカッコいいマシンだが、それでもハーレーの代わりはできないのだ。
なぜか。
ハーレーには語り継がれる物語、歴史があり、「ハーレーとはこうだ」というスタイルがある。そんな乗り物はそうそうない。
アメリカの人気TVドラマ「サンズ・オブ・アナーキー」は、家族以上の繋がりを持つ「クラブ=チーム」が舞台であり、チームの全員がハーレーに乗っている。
ハーレーとクラブ。女やスポーツよりも忠誠を誓うのは「ハーレーとクラブ」なのだ。
そういう男くさい物語やイメージがそこらじゅうに溢れている。大人の男が人生の一部を捧げるに足る存在として確立されている。
ハーレーを買う人が欲しいのは、そういう男たちに仲間入りすることであり、安穏とした人生にワイルドな一面を垣間見せてくれるモノなのだ。
人間は、「こうありたい自分」を買う。
もっと具体的にいえば、こうありたい自分にしてくれるモノやコトを買うのだ。