iPhoneはなぜ成功した?なぜ売れたのか?
潜在ニーズを捉えた世界的な大ヒット商品で考えてみよう。
それまでの 携帯電話は、通話やメールなどの機能しかなかった。
その時点では、 誰もインターネットで情報を検索したり、携帯電話で音楽を間きたいとは思ってもいなかったのだ。
iPhoneという商品が世に出ることによって、一気にウォンツが高まり、iPhone欲しさに携帯シヨツプに行列ができるほどの盛況となった。
「商品による驚き」「誰も見たことのない商品」の提供が重要
スティーブ・ジョブズの格言として「人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ」という言葉を残している。
「商品による驚き」「誰も見たことのない商品」を提供することが重要だということ説いている。
iPhoneの例はこの理念のもと技術の進展によって客の潜在ニーズを 創造した良い例といえる。
ただし、技術だけに頼っているわけではない点に留意することが重要だ。
最新技術を盛り込んで機能だけを増やしたところで、需要を創造することはできない。
技術だけでは足りない
「IoT」が流行り言葉のように使われている。
では、提供されたスマートフォン連動の冷蔵庫やエアコンは、iPhoneのような「驚き「と「欲しい」とと思わせるものがあったか?
確かに機能としては優れたものはあったのかもしれない。しかし技術が先行しただけでは、マーケティングは上手くいかないのだ。
マーケティングはニーズとウォンツがセットになっている必要がある。
根源的な必要性(ニーズ)を誘発し、欲しい(ウォンツ)と思わせるものが大ヒットする。
必要性が低い話題先行型の商品はいずれ市場から消えてしまう。iPhoneは、外出先でインターネット や動画を楽しみたいというニーズと、優れた商品であるiPhoneが欲しいとい うウォンツがあったからこそヒットに鑿がったといえる。
アッブルのブランド力も
もちろんiPhone以前にアッブルのブランドが強固であったこともウォンツには大きな影響を与えている。
iPodやPadで人々の頭の中にアッブル製品のすばらしさ、直感的な操作方法に対する感動があったことも、 ウォンツを引き出した要因といえる。
あのアッブルが出すスマートフォンだからきっと使やすいに違いないという期待は人の行動に大きな影響を及ぼしたのだ。
一度iPhoneを使った人は、次のスマホでもiPhoneを選ぶ確率が非常に高いといわれている。
特に日本ではiPhoneから他のアンドロイドスマホに変える人、というのはあまりいない。客の欲しいという気持ちをガッチリつかみ、期待を裏切らないパフォーマンスを提供し続けることが、客との長期的な関係を構築することに繋がっている。
他社が着目していない潜在ニーズを掘り当て「こんな商品が欲しかった」というウォンツに繋げていく長期的な取り組みこそが、結果が出るマーケティングといえる。
ニーズとウォンツ
ターゲットとする客の潜在ニーズを探索しさらに自社商品が選ばれる(ウォンツを獲得する)ようにするためには、 自社商品を購入する必然性を構築しなくてはならない。
例えば、おなかが減ったというニーズを解決することができる商品やサービスはたくさんあります。その中で自社の蕎麦(ウォンツ)を選んでもらうためには理由が必要だ。
自社の蕎麦によってお客様が得られるメリットをアピールする必要がある。
菫要なのは「~だから」だ。
恋愛でも自分と付き合うことによって相手をどんな気持ちにさせることができるかをアピールすれば成就する確率は高まる。
大事なのはこちらサイドから特長を押し付けるのではなく、その特長によって相手に対してどんなメリットを提供できるかという発想だ。
ベネフィットは自社の技術ではない
客が商品やサービスを購入するプロセスとして、ニーズから一気にウォンツに結びつくわけではない。
モノ余り時代においては、 客のニーズを解決できる商品やサービスは自社の商品・サービスだけではないからだ。
客は常に比較を検討した上で商品・サービスを選択している。
マーケティングでは客の「買う理由付け」をベネフィットと呼ぶ。
iPhoneで考えると「取扱説明書を読まなくても直感的に操作できる」とか「デザインが格好よくて持っていて人に自慢できる」などが相当する。
間違えてはいけないのは、ベネフィットはあくまで客が感じることで自社の技術ではない。
高度経済成長期やバブル時代では「新しいモノ」というだけで商品やサービスが売れていった。
そうした時代には「新しい機能」は有効だったが技術レベルが急激に向上した現代では「新しさ」だけでは自社商品を選択する理由付け、必然性にはならない。
技術的な機能とベネフィットの開発が外せない
客に感動を与え「××(自社商品・サービス)を持っていると自分にメリ トがあるなあ」と感じさせることが菫要であり、商品・サービスの企画開発では、技術的な機能を開発するということとベネフィットを開発するということが外せない要素となる。
※ベネフィット
自社商品・サービスを選択することによって得られる利点、便益、メリット。